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林芳正外相は23日、太平洋上に展開中の米原子力空母「エーブラハム・リンカーン」に乗艦し、艦載機の離着艦訓練を視察した。視察は米政府の招待で、エマニュエル駐日米大使らが同行した。北朝鮮が今年に入り大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を繰り返し、核実験実施の動きもある中で、北朝鮮や中国の動きを牽制(けんせい)する狙いがある。
日本の外相が米空母を視察するのは平成22年に当時の岡田克也外相が米原子力空母ジョージ・ワシントンを視察して以来12年ぶり。
エマニュエル氏は、エーブラハム・リンカーンを中心とする空母打撃群が今月、フィリピン海や東シナ海で海上自衛隊と共同訓練を実施したと説明。林氏はエマニュエル氏とともに行った共同記者会見で「実践的訓練を通じ、共同対処能力を向上させることは日米同盟の相互運用性や即応性の強化に直結し、日米両国が常に万全の態勢を整えていることを示す重要な取り組みだ」と強調した。
エーブラハム・リンカーンには韓国軍制服組トップの元仁哲(ウォン・インチョル)合同参謀本部議長が乗艦したばかり。米国側としては日米韓の連携を強化する思惑もあるとみられる。
エマニュエル氏は23日の記者会見で、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領側が派遣する代表団が24日から来日することに言及し「新たな友情に基づく3カ国関係の新たな日、新たな章の始まりだ」と述べ、日韓関係改善に期待をにじませた。林氏も「北朝鮮による核・ミサイル開発が一層活発化する中で、日米韓の3カ国の連携も重要だ」と述べた。
エマニュエル氏はまた、ロシアのウクライナ侵攻について、インド太平洋地域でも同様の事態が起きる可能性に言及。米国の同盟国・友好国による対露経済制裁が効果を発揮していると指摘した上で「中国は、あらゆる種類の攻撃を食い止める能力に注目している」と語った。
エーブラハム・リンカーンは今月12日に韓国東部沖の日本海に入り、韓国軍とも訓練を実施した。米空母の韓国近海入りは2017年11月以来で約4年半ぶりだった。